ピアスの歴史:古代ローマ

最終更新: 2026-06-14

歴史 ローマ

古代ローマ時代のジュエリーは、世界中の博物館のコレクションに驚くほど多く残っています。ゴールドのイヤリングや宝石を留めたペンダント、繊細なワイヤーフープなど、その多くは耳のピアスホールに通して身につけられていたものです。

この記事では、古代ローマの人々がピアスジュエリーをどのように楽しみ、どんな素材を選んでいたのか、そして今も根強く語られる有名な話の真相を、軽くのぞいてみましょう。ローマのジュエリー史は、本気で語りはじめると何冊にもなるほど奥深い世界です。今回は入口として、気軽に楽しめる範囲でお届けします。

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耳のピアスは日常の一部だった

帝政期(おおよそ紀元1〜3世紀)には、耳のピアスは古代ローマの女性にとってごく自然な習慣でした。発掘調査でも、イヤリングはイギリスからエジプト、帝国の東方地域に至る広い範囲で見つかっています。裕福な都市住宅の遺構から地方の小さな墓所まで、さまざまな場所で出土します。

男性が身につけていた例もあり、とくにローマ史の初期や外地出身の兵士のあいだでは比較的よく見られたようです。ただ、いわゆる古典期に入る頃には、イヤリングは主に女性の装身具として受け取られるようになります。哲学者プラトンも身につけていた、という話が伝わっています。

ローマのイヤリングは何でできていた?

当時のイヤリングは、ゴールド、シルバー、ブロンズが基本で、ときにガラスビーズや、カーネリアン、アゲート、アメシスト、ロッククリスタルといった半貴石も組み合わされました。ゴールド製のものほど仕上げが細やかで、石を留める台座も丁寧に作られている傾向があります。

一方、ブロンズなどのベースメタルでは、ガラスビーズで高価な石の見た目を再現した例も見られます。素材の選び方には、当時の社会的な立ち位置がそのまま映り込んでいました。

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Gold earring with rock crystal bead MET DP135960 edited
Gold earring with convex disc MET DP135927 edited

考古学の記録でよく挙げられる形としては、シンプルなフープ、フックと留め具で固定するループタイプ、板金や鋳造による丸みのあるドロップ型、複数のパーツを組み合わせてビーズやインタリオ(彫刻石)を吊るすタイプなどがあります。ニューヨークのメトロポリタン美術館には、紀元1〜2世紀のゴールドとロッククリスタルのイヤリングが、ほぼ完璧な状態で残っています。

ローマ軍の乳首ピアス説は本当?

ローマ軍の百人隊長は、マントを留めるために乳首にピアスをしていた。ユリウス・カエサルは軍事的な強さの象徴としてニップルリングをしていた。こうした話が、あちこちで事実のように語られています。

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けれども、出どころははっきりしています。ピアス史研究者リチャード・シモントンが、Doug Malloy というペンネームで書いた文章が発端でした。根拠にされたのは、ヴェルサイユ宮殿にあるバロック期の彫像の写真です。彫像の胸当てには、装飾としてマントを留めるためのリングが付いていましたが、もちろん人間の身体ではありません。

その後、Malloy本人も「まあ、いい話になるからね」と認めています(Jim Wardの引用によれば)。しかし古代ローマ時代の一次資料も、考古学的な証拠も、ミイラの痕跡も、この説を裏づけるものは見つかっていません。それでもこの話は近代のピアスコミュニティに広まり、根拠が明らかになるまで長く事実として扱われてきました。

階級差と地域性が生んだ幅

ローマ帝国のイヤリングは、形だけで年代を断定するのが難しい分野です。というのも、属州の工房では、ローマ本国ではすでに廃れたスタイルが、流行が過ぎてからも長く作り続けられることがありました。そのため考古学では、形そのものよりも、地層(ストラティグラフィー)や副葬品の文脈のほうが年代推定の手がかりになることが多いのです。

一方で、帝国内で広く共通して見られる傾向もあります。威信を象徴するジュエリーにはゴールドが用いられ、同じ意匠をより手の届きやすい形にしたものでは、ガラスビーズやブロンズなどの身近な素材で雰囲気を再現していました。

MAYのこだわり

ゴールドが今も選ばれ続ける理由は、2,000年前も変わりません。古代ローマ人がゴールドを選んだのは、いま私たちが推奨している理由と同じです。純度の高さ、加工のしやすさ、そして身体との相性。

またローマ時代には、ガラスも立派なジュエリー素材として扱われていました。宝石が手に入りにくいときの代替としてだけでなく、ゴールドと組み合わせて意匠として楽しむ使い方もあったようです。

MAYでは、こうした伝統を彷彿とさせる品質基準を満たしたゴールドジュエリーを厳選しています。ガラスジュエリーも取り扱っており、どちらも品質管理の実績が明確なメーカーのものだけを選んでいます。身につけるものの背景がきちんと見えるラインナップです。

Anatometal Insta News Zia Dangle
シールドイヤリング

このシリーズの次回予告:ピアスジュエリーの歴史 古代インド編。耳のピアスが、神聖な儀式でもあり、医療的な実践でもあり、生涯のアイデンティティでもある文化をたどります。