ナベルピアス:実は新しい、現代生まれのスタイル
最終更新: 2026-09-04

ナベルピアス(へそピアス)は、ボディピアスの中でも特に認知度の高いスタイルです。ただ、その歴史は意外なほど新しく、古代の記録に残るようなものではありません。始まりは、今を生きる人たちの記憶に残っているほど最近のことです。
ナベルピアスの呼び名と始まり
一般的にはへそピアス、ピアッサーの間ではナベルピアスと呼ばれています。ただ、どちらも少し誤解を招きやすい名前です。実際に開けるのはおへそのくぼみそのものではなく、上側の縁にある皮膚のひだを通します。
古代エジプトでは貴族の間でナベルピアスが流行し、彫像にもその姿が見られる――そんな話が広く語られてきました。出どころをたどると、ダグ・マロイの小冊子「Body & Genital Piercing in Brief」に行き着きます。ピアッシング界で伝説的な存在として知られるガントレットの創設者ジム・ウォードによると、これは史実ではなく、マロイ自身が話を膨らませたものだそうです。ほかの資料を見ても、この説を裏づける記録は見つかっていません。イヤーロブ(耳たぶ)やノストリル(小鼻)、ニップル(乳首)には古代から続くピアス文化がありますが、ナベルにはそうした背景がありません。要するに、ナベルピアスは最近生まれたスタイルで、古代エジプトの話は史実というより、言い伝えに近いものです。
一方、実際の記録が残っているのは1970年代からです。欧米のサブカルチャーで耳以外のピアッシングが広がるなか、ナベルピアスはパンクシーンに登場しました。当時、ナベルピアスを開けていたのは主に男性で、装飾のないバーベルを着けていたとされています。
パンクからポップカルチャーへ
1993年が大きな転機でした。この年、クリスティー・ターリントンとナオミ・キャンベルがロンドンのランウェイショーでナベルピアスを披露しています。同年公開のエアロスミスのミュージックビデオ「Cryin’」では、ピアッサーのポール・キングがアリシア・シルヴァーストーンに実際にナベルピアスを開ける場面が映し出されます。この映像が、ナベルピアスを一般に広めた大きなきっかけになったといわれています。
その後、ブリトニー・スピアーズは1990年代後半からナベルピアスを着けた姿をたびたび見せ、2001年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでもそのスタイルを披露しました。2005年にイギリスで1万人以上を対象に行われた調査では、耳たぶ以外で最も多かったピアス部位はナベルで、回答者のおよそ3分の1を占めています。2010年代には人気がいったん落ち着いたものの、2020年代に入ると新しい世代のアーティストたちが取り入れたことで再び注目されました。サブカルチャーからポップカルチャーへ広がり、時代を経て人気が戻るまでの流れを、ここまではっきり追えるピアスはそう多くありません。
日常に取り入れやすい理由
ナベルピアスの魅力のひとつは、見せるタイミングを自分で選べることです。イヤーロブやノストリルと違って普段は服の下に隠れるため、服装のルールが厳しい場面でも取り入れやすくなります。見せたい日のコーディネートに合わせてジュエリーを選べるのも、この部位ならではです。
開ける前に確認したいこと
ナベルピアスは、ほかの部位以上に体のつくりによって向き不向きが分かれます。ピアッサーがまず確認するのは、おへその上側に、カーブバーベルを支えられるだけの皮膚のひだ(リップ)があるかどうか。バーが食い込まず、肌に沿って自然に収まる程度のひだが必要です。
また、座って前かがみになったときにおへそが開いたままの人もいれば、閉じてしまう人もいます。そのため、経験のあるピアッサーは、横になった状態だけで判断せず、立つ・座る・動くといった姿勢の変化によるおへその動きまで確認します。
お腹まわりは常に動くため、ナベルではバーの長さやカーブが、ほかの部位以上にジュエリーの収まり方を左右します。写真映えだけを優先してバーを選ぶと、おへその動き方に合わず、思いがけない角度に傾いてしまうことも。こうしたバー選びの失敗はプロのピアッサーもよく目にしますが、着ける人のおへそに合うサイズを選べば避けられます。衛生管理が欠かせないのはもちろん、どの方法で開け、どの道具を使うかは、一人ひとりのおへその状態を見ながらピアッサーが判断します。
将来、複数のナベルピアスを組み合わせたいなら、その希望は最初のカウンセリングで伝えておきましょう。1つ目を開ける位置によって、あとから追加できる場所が変わるためです。

ナベルジュエリーの選び方
ナベルは、ジュエリーが揺れて光を受け、きらめく表情を楽しめる、ボディピアスの中でも珍しい部位です。定番のカーブバーベルは、バナナのように緩やかに曲がった形からバナナバーベルとも呼ばれ、おへその組織に自然に沿います。上側に小さなエンドパーツ、下側に大きなエンドパーツを合わせることで、ほかの部位ではあまり見られない、上下がはっきりしたデザインになります。太さは14Gか12Gが一般的です。リングは定番ではありませんが、ナベルによく映えます。
あとは、好みや見せたい雰囲気に合わせて選べばOK。さりげなく楽しむならベゼル留めのストーンを1つ、存在感を出すなら下側に大きなジェムを合わせるとよく映えます。ゴールドは肌にあたたかくなじみ、チタンはすっきりと軽やかな印象に仕上がります。MYMAYでは、実際によく使われているサイズを中心に、カーブバーベルとナベル用エンドパーツを取り揃えています。カーブバーベルのラインナップと、ナベルジュエリーカテゴリページをご覧ください。
次回は、おへその下側に開けるインバースナベルピアスや、複数のナベルピアスを組み合わせるスタイルを紹介します。1か所だけでなく、おへその縁全体を使うとどんなデザインが楽しめるのか、詳しく見ていきましょう。
MYMAYではピアッシング自体は行っていません。施術については、必ずプロのピアッサーに相談してください。私たちが扱うのは、本来の用途で使うことを前提に、安心して長く身につけられるジュエリーです。実績のあるメーカーとしか取引せず、メッキやコーティングのジュエリーは扱いません。
ピアスは人それぞれです。何ができるかは体のつくりによって変わるので、これはあくまで一般的な話として読んでください。自分の場合はどうなのか迷ったら、プロのピアッサーに直接相談してください。
記事内の写真は許可を得て掲載しています。キャプションで紹介しているピアッサーやショップの多くは、MYMAYと同じブランドを扱っています。自分に合うジュエリーを探すときにも、ぜひ相談してみてください。



