イヤーロブピアス:ファーストピアスから重ね付けまで

最終更新: 2026-08-03

イヤーロブ ピアッシング
着用イメージ

ピアスの話をするとき、多くの人がまず思い浮かべるのはイヤーロブ(耳たぶ)ではないでしょうか。耳の下のやわらかくふっくらした部分。世界でいちばんメジャーなピアスで、記録に残っているものの中でもいちばん古いとされています。しかも、耳たぶは重ね付けしやすいのも魅力。最初のホールが完治すれば、あとはやわらかい組織に沿って等間隔に穴を増やしていくだけ。無理なくステップアップできるんです。

実は人類最古のピアス

耳たぶのピアスは、有史以前から存在していました。これまで見つかった中でもっとも保存状態のいい人体、通称「アイスマン」ことエッツィ(紀元前3300年ごろ)にも、7〜10mmほどまで拡張された耳たぶのピアスホールが残っていました。現在のトルコにあるボンジュクル・タルラ遺跡の墓からは、1万1000年前の石や黒曜石でできた耳飾りも出土しました。おそらく、成人を迎える通過儀礼で使われていたのでしょう。

イヤーロブピアスについて興味深いのは、その習慣が世界中で単発的に生まれていたことです。古代エジプトでは、ツタンカーメンをはじめとする王族が地位の証としてイヤリングを身につけていました。インドのヒンドゥー教には子どもの通過儀礼カルナヴェーダがあり、耳に穴を開けることが16の儀式のひとつに数えられています。東アフリカのマサイの人々や、ボルネオ島のダヤックの人々の間では、耳たぶを大きく拡張することが知恵や美しさ、社会的地位を示すものでした。ひとつの文化が発明したものではなく、それぞれの土地で独自に育まれてきた習慣なのです。

もっと近い時代でも、耳たぶのピアスには意味が込められてきました。16世紀から19世紀ごろのヨーロッパでは、船乗りや海賊が片耳だけにゴールドのフープを着けているのが定番でした。視力が良くなる、溺れないといった言い伝えレベルの話もありますが、中には実際に伝統として続いていた習慣もあります。たとえば、赤道を越えたときや、難所として知られたホーン岬を回ったときに、ピアスを手に入れるという船乗りたちの習わしです。ゴールドのフープには、もし遺体が岸に流れ着いた際、きちんとした埋葬の費用に充てるという意味も込められていたそうです。

重ね付け・スタックについて

最初のピアスが治ったら、もっと増やしたい。そう思う人は多いはずです。その次のステップとして自然なのが、耳たぶに沿って上へ並べていく方法です。セカンド、サード、あるいはスタックドロブ、ロブスタックと呼ばれるスタイルです。複数のピアスを着けること自体は、目新しい話ではありません。スタッドやリングを並べて耳たぶを飾る文化は、世界中に昔からありました。今っぽいのは、キュレーテッドイヤーという発想。完治したピアスホールをいくつも組み合わせて、ひとつのデザインとして見せる。この考え方が定着したのは、ここ20年くらいの話です。

イヤーロブ ピアッシング
スタック

セカンドピアスは、ファーストの少し上に、同じ角度・同じ間隔で開けるのが基本です。そうすることで、イヤリングがきれいに一直線に並びます。サードピアスはさらに上へ。耳たぶのふっくらした部分の上端、軟骨に差しかかる手前まで続けられます。仕上がりを決めるのは、なんといっても間隔です。均等に空いていればバランスよく見えますが、詰め込みすぎたり、線がずれたりすると、そのバランスは一気に崩れます。

位置決めで大事なこと

耳たぶには軟骨がありません。だからこそ、耳の中でいちばん痛みが少ない場所です。ファーストピアスは、耳たぶの中央あたり、厚みのある部分に開けることが多いです。スタッドがまっすぐ入り、フープが自然に収まる位置になります。そこからどれだけホールを増やせるかは、人によって本当に様々です。ファーストの上にたっぷり余裕がある人もいれば、ほとんどない人もいます。自分の耳たぶがどこまで対応できるかは、プロのピアッサーに聞くのが一番です。

大事なのは、1つずつその場で決めるのではなく、並び全体を計画的に考えることです。決まったホール数があるわけではないので、バランスで判断します。最終的に2つにするのか、3つ以上にするのかによって、ピアッサーは間隔を均等にしつつ、耳たぶの大きさに合わせて配置してくれます。その日は1つしか開けない場合でも、最初の印をつける前に全体の配置を描いておくピアッサーも珍しくありません。今日の位置が、次のピアスが加わったときにもきれいに収まるようにするためです。理想の見た目に近い写真を用意しておくと、自分の耳でどこまで実現できるかを相談しやすくなります。

スタック イヤーロブ
BABYLON Body Art’s Osaka

将来のジュエリーも見据えて

ピアスの位置は、今の見た目だけの話ではありません。実は、将来着けられるジュエリーの種類にも関わってきます。間隔が近いと、スタッドのエンドパーツの大きさや、のちに拡張できる範囲などが限られてしまいます。フープを着けたいなら、早めにピアッサーに伝えておきましょう。リングを重ならずに収めるには、それなりのスペースが必要だからです。いつか拡張したい、重さのあるジュエリーを着けたい。そう思っているなら、それも最初の段階で伝えておくのがポイントです。そうすれば、ピアッサーは大きめのジュエリーを支えられるよう、周りの組織を残しつつ、中央に位置を取ってくれます。後から調整するのは、思っている以上に大変です。

スタック イヤーロブ
3G element BODY PIERCING

耳たぶに似合うジュエリー

耳たぶは、体の中でもいちばん自由度の高い部位です。やわらかくて余裕のある組織だからこそ、スタッドやフープはもちろん、揺れるチャームや存在感のある大きめのデザインまで、ほとんど何でも着けられます。素材もチタン、ゴールド、ガラスまで幅広く選べます。1つだけならほぼ好きなものを着けられますが、重ね付けとなると、組み合わせのセンスが問われます。凹凸の少ないフラットバックのスタッドは耳に沿ってすっきり収まるので、特に上の部位に向いています。そこにハギーや小さめのフープを混ぜると、全体にリズムが生まれ、レイヤードな仕上がりになります。

スタック イヤーロブ
3G element BODY PIERCING

どんなスタイルを目指すときも、まずはMYMAYのスタッド・フープコレクションをチェックしてみてください。MYMAY フラットバック・スタッドピアスMYMAY フープピアス

次回は、拡張ピアスについて。同じホールを時間をかけて大きくしていく、記録に残るなかでも最古のボディモディフィケーションのひとつです。


MYMAYではピアッシング自体は行っていません。施術については、必ずプロのピアッサーに相談してください。私たちが扱うのは、体に安全で長く使えるジュエリーです。実績のあるメーカーとしか取引せず、メッキやコーティングのジュエリーは扱いません。

ピアスは人それぞれです。何ができるかは体のつくりによって変わるので、これはあくまで一般的な話として読んでください。自分のピアスについて迷ったら、プロのピアッサーに直接相談を。

記事内の写真は許可を得て掲載しています。画像で紹介しているピアッサーやショップは、MYMAYと同じブランドを扱っていることも多く、自分に合うジュエリー選びについて的確なアドバイスをもらえるので、ぜひご相談なさってみてください。