ボディピアスのバリエーション:ネジ式とプッシュピン


ボディピアスの装飾エンドをバーベルに固定する方法は、大きく分けて2つあります。ネジで固定するスレッド式と、ピンを差し込んでテンションで保持するプッシュピン(スレッドレス)です。接続方式は、着け心地・交換のしやすさ・安定性に直接影響します。それぞれの特徴を理解すれば、自分のピアスホールや生活スタイルに合うジュエリーを選びやすくなります。
接続方式の仕組み
スレッド式のバーベルは、内ネジ式または外ネジ式のネジ機構で装飾エンドをバーに固定します。プッシュピンはネジを使わず、ピンと受け側で固定する方式です。柔軟なピンがわずかにしなることでテンションが生まれ、エンドパーツを保持します。どちらも確実に固定できますが、仕組みも、ピアスホールへの影響も大きく異なります。
両方の特徴を理解しておくと、自分の目的や治癒の状況に合わせて選びやすくなります。
内ネジ式(インターナリースレデッド)

内ネジ式のバーベルは、ネジ山がバーの内側に切られています。ボールや装飾エンドをバーにねじ込む構造なので、ネジ部分が外に出ず、着脱時にピアスホールに触れません。この設計により、挿入・取り外しの際に組織を傷つけにくく、刺激やダメージを軽減できます。
スレッド式の中では、ネジがピアスホールに接触しない内ネジ式が推奨されます。ポスト先端が丸みを帯びているので挿入しやすく、インサーションテーパーやガイドワイヤーを使えば、さらにスムーズに装着できます。治癒中は組織がデリケートになるので、この当たりにくさが特に重要です。

外ネジ式(エクスターナリースレデッド)

外ネジ式のバーベルは、ネジ山がバーの外側にあり、バーをボール側にねじ込む構造です。着脱時にネジ山が必ずピアスホールに触れるため、傷や刺激の原因になります。ピアス用途としては推奨できない設計です。
治癒中はもちろん、治癒後のピアスホールでも避けるべき構造です。
プッシュピン

プッシュピンは、ネジではなくピンと受け側の仕組みで固定します。エンドパーツのピンをバーに差し込み、テンションで保持する方式です。バーの端には小さな穴があり、ピンを少し曲げて差し込むことでテンションが生まれ、しっかり固定されます。ネジがないため交換が早く、ピアスホールに引っかかりにくいのが特徴です。
ボディピアス業界でプッシュピンを広めたのが ネオメタル で、この仕組みはジュエリーの接続方法を大きく変えました。回す必要がなく、エンドパーツをまっすぐ引き抜くだけで交換できるので、着け替えが簡単です。ネジ山がないため、引っかかったりネジが傷んだりする心配もありません。頻繁に交換する治癒中は、特に扱いやすい方式です。

ジュエリーの交換方法
スレッド式は回して外す必要があり、ネジが固い場合や小さなエンドだと扱いにくいことがあります。また、メーカーが違うエンド同士を組み合わせると、ネジ山が噛み合わず、ネジが傷むリスクもあります。プッシュピンは、まっすぐ引き抜くだけで交換できるため、作業が早く、精神的な負担も軽くなります。
治癒中にバーベルの長さ調整を頻繁に行う場合、プッシュピンなら素早く交換できます。エンドパーツの付け外しの際にネジを繰り返し回すネジ式と比べると、ピアスホールへの負担を軽減しやすくなります。一方、ネジ式は流通が広く、長年の標準として定着しているため、交換用エンドパーツを見つけやすいという利点があります。
互換性について
高品質なジュエリーブランドでは、内ネジ式のネジ規格が標準化されていることが多いです。18G と 16G では 0.9mm、14G と 12G では 1.2mm のネジ規格が一般的です。同じゲージ帯なら、メーカーが違っても組み合わせられる場合があります。ただし太いゲージになるほど、メーカーごとに寸法が異なることがあるため、同じメーカーでそろえることが重要になります。
プッシュピンのピンは一般的に 25G で、規格に一貫性があります。ただしメーカー混在には注意が必要です。見た目は合いそうでも、ピンや穴のサイズが適切でないと、外れやすい、抜けにくい、しっかり固定できないといった問題が起きることがあります。
自分に合う選び方
スレッド式かプッシュピンかを選ぶときは、次の点を目安にしてください。
- 内ネジ式は外ネジ式よりピアスホールを守りやすい
- プッシュピンは交換が簡単で、ネジ由来のトラブルが少ない
- 一般的なゲージ帯は規格がそろいやすいが、太いゲージではメーカーを合わせることが重要
内ネジ式とプッシュピンは、挿入・取り外し時にピアスホールを保護しやすく、治癒の面でもメリットがあります。ネジ規格やピン規格が合っていないと、外れやすさや紛失のリスクが高まるため、メーカーを混在させる前に互換性を確認しておくと安心です。スレッド式を選ぶ場合は内ネジ式を基本とし、交換用エンドパーツがバーベルの規格に合っているかを必ず確認してください。
MAYのこだわり


MAYでは、内ネジ式バーベルを標準として作っているメーカー、そしてプッシュピンの技術をきちんと確立しているメーカーと組んでいます。「ネジがピアスホールに触れるべきではない」という考えから、内ネジ式を使うことで、より安全で快適なネジ式ジュエリーを実現しています。プッシュピンのパートナーは、ピンのサイズと受け側の穴の精度が、しっかりした固定に直結することをよく理解しています。
ネジ式では精密なネジ加工と品質管理にしっかり投資し、プッシュピンでは固定の信頼性を確かめているメーカーを、私たちは支持しています。このこだわりによって、ネジ式でもスレッドレスでも、ピアスホールを守りながら安定した着け心地とメンテナンスのしやすさを提供できると考えています。
次回は、ノストリルスクリューの特徴的な構造を解説します。留め具がなくても、しっかり固定できる技術について掘り下げます。