ボディピアスジュエリー:リテイナー入門

Basic Body Jewelry - Retainers

“見せないピアス”を叶えるリテイナーガイド

リテイナーは、ピアスホールを保ちながら、見た目の存在感をできるだけ小さくするためのジュエリーです。仕事やアルバイト、医療処置、家族や周囲への配慮など、ピアスをあまり目立たせたくない場面で、一時的な選択肢として役立ちます。

どの素材が安全に使えるのか、どこまで無理なく頼れるのかを知っておくと、ピアスを守りながら自分に合ったリテイナーを選びやすくなります。

リテイナーの役割

リテイナーは、「目立ちにくさ」を優先して設計された専用ジュエリーで、ピアスホールを保つことが一番の役割です。あくまで通常のジュエリーの一時的な代わりとして使うことを想定しており、長時間つけっぱなしで使うためのものではありません。

医療処置の前後や、職場や学校のルールで一般的なジュエリーを外す必要がある場面など、プロのピアッサーも、特定の状況に限ってリテイナーの使用を勧めています。

一方で、リテイナーは新しいピアスの初期治癒には適していません。多くのリテイナーは、治癒途中のデリケートな組織を安定させるためのホールド力や固定方法を前提に作られておらず、長期的な日常使いも想定されていません。

使用できる素材

ボディピアス用のリテイナーとして、安心して使える素材は限られています。

Simple Color Straight Retainers skin tone

クリアや肌なじみのよい色で作られたガラス製リテイナーは、生体適合性が高く、肌の色に近いトーンにも仕上げやすいため、目立ちにくくしたいときによく選ばれています。

septum retainers 11

インプラントグレードのチタンやニオビウム製のリテイナーも、肌に近い色へアノダイズ(陽極酸化)することで、一般的なメタルジュエリーよりも視覚的な存在感を抑えやすくなります。

また、クリアや肌色の医療グレードシリコンも、リテイナー用の素材として広く使われているものです。

その一方で、アクリルなどのプラスチック素材は、ボディピアス用ジュエリーとしては適切ではありません。十分な滅菌が難しいことや、成分がにじみ出るおそれがあることから、必要な安全基準を満たしていないと考えられています。

ポイントは「一時的」

リテイナーは「ピアスを隠すための道具」であって、普段使いのジュエリーを完全に置き換えるものではありません。構造がシンプルなものも多く、ホールドが甘くなりやすいため、就寝時や運動時には紛失しやすい点に注意が必要です。

素材自体が適切であっても、同じリテイナーを長期間つけ続けることは想定されていません。

金属やガラスのリテイナーには、光を反射しやすいという特徴もあります。肌なじみのよい色やクリアな仕上がりであっても、照明の当たり方によっては反射が生まれ、完全に見えなくなるわけではありません。

プロのピアッサーのもとには、「まったく見えないようにしたい」という期待を持って相談に来られる方もいますが、現実的には「ある程度は見える」という前提で考えておくと安心です。

リテイナーを選ぶときに考えたいこと

Straight Retainers
Crystal Nostril Retainers
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リテイナーは、日常のファッションとして楽しむジュエリーというより、「特定の状況に備えるためのピアス」と考えると選びやすくなります。

まずは、紛失しにくいフィット感を確保することが大切です。それでも、通常のジュエリーと比べると、どうしても外れやすくなる場合があります。

素材によっても、見え方や安定感は変わります。

  • ガラスや金属のリテイナーは、耐久性に優れる一方で光を反射しやすい
  • シリコン製は柔らかく曲がりやすい反面、デザインによっては固定力が弱くなることがある

プロのピアッサーは、医療処置を控えた方から相談を受けることも多く、適切なリテイナーの種類を一緒に選んだり、装着のサポートを行ったりしています。

医療機関によっては、金属を含まないリテイナーであれば許可される場合もありますが、検査の内容によってはピアスホールからジュエリーをすべて外すよう求められることもあります。その場合、短時間でもホールが縮む可能性があります。

受診前には、ピアスの有無や部位・状態を医療スタッフに伝え、どこまでなら認められるのかを必ず確認しておきましょう。

自分に合ったリテイナー選び

リテイナーを選ぶときのポイントを整理すると、次のようになります。

  • ボディピアスに適した素材かどうか (ガラス/インプラントグレードのチタン/ニオビウム/医療グレードシリコンのみを使用)
  • 通常のジュエリーの完全な置き換えではなく、一時的な使用を前提としていること
  • 紛失を防げるだけのフィット感があるかどうか。ただし、それでも一般的なジュエリーより外れやすいこと
  • 肌なじみの色であっても、「まったく見えない」わけではなく、ある程度の見え方が残ること

リテイナーのトラブルの多くは、「想定していた使い方」と実際の使い方がずれているときに起こります。

たとえば、まだ治癒していない新しいピアスに使ってしまったり、一時的な用途を超えて長期間同じものを着け続けたり、安全性が確認されていないアクリルやプラスチック製のアイテムを選んでしまったりするケースです。

リテイナーを検討するときは、必ずピアッサーに相談し、自分のピアスの状態や目的に合った選択肢かどうかを、一緒に確認してもらうことが大切です。

MAYのこだわり

MAYでは、リテイナーに求められる条件を理解しているメーカーと協力しながら、取り扱う商品を選定しています。リテイナーは、ガラス、インプラントグレードのチタン、ニオビウム、医療グレードシリコンといった、ボディピアス用として適切な素材に限定しています。アクリルやプラスチックを素材とするリテイナーは、安全性の観点から取り扱っていません。

また、リテイナーの形状や留まり方についても、ピアスホールを無理なく保てる設計かどうかを重視しています。メーカー側でホールド力やデザインの安全性を検証していること、ボディピアス用として求められる基準を満たしていることを確認したうえで、ラインナップを組んでいます。

こうした取り組みによって、仕事や医療処置、プライベートな事情などでピアスを目立たせたくないときにも、できるだけ安心してホールを守れる環境を整えていきます。

Color Front Labret Retainers
Septum Retainers

次回の記事では、シームリングの種類と特徴について解説します。通常のリングとの違いや、どんなピアスに適しているのかを整理しながら、ご自身に合った選び方を一緒に考えていきましょう。