ボディピアスジュエリー:リング入門

リングを選ぶべき時・避ける時
かつてリングは初回ピアスの定番でしたが、治癒中は問題を引き起こしやすいことが分かってきました。治癒後や特定の部位では優れた選択肢となる一方、初期はバーベルやスタッドを選ぶ方が、より早く滑らかに治りやすくなります。リングが適する場面と適さない場面を理解することが、成功する治癒への近道です。
なぜファーストピアスに向かないのか

リング状のジュエリーは、ピアス穴に通して輪を完成させるタイプのアクセサリーです。まっすぐなバータイプとは違い、リングは常に回転したり動いたりします。これが、ピアス穴の内側に摩擦を生み、目に見えない小さな傷(マイクロテア)を作ってしまう原因となります。この絶え間ない動きは治癒のプロセスを妨げてしまうため、結果として完治するまでの期間が長引き、しこり(肉芽)ができたり、最悪の場合感染につながる可能性もあります。
経験豊富なプロのピアッサーは、腫れに対応するために、リングはピアスホールの幅よりもかなり大きくしなければならないことを把握しています。ただ、この余裕のあるスペースがあることで、かえってリングの動きが大きくなり、トラブルを引き起こす原因が増えます。リングが常に回転したり位置が変わったりするということは、絶えず傷つけられている状態に対処しながら回復を進めなければならないため、身体が治癒に専念できなくなってしまいます。
動きが生む問題
リングが回転するたびに、治癒中のデリケートな組織に摩擦がかかり、微小な裂け目(マイクロテア)が生じます。この裂け目は都度修復が必要になるため、治癒が少しずつ後戻りしてしまいます。
プロの現場では、赤く腫れたピアスホールに大きめのリングが不安定に装着されているケースをよく見かけます。腫れに対応するため直径を大きくする必要がありますが、そのゆとりがかえって動きを増やし、治癒を妨げる原因となります。
リングが適しているケース

それでも、初回からリングが使える部位もあります。セプタム(鼻中隔)やダイス(耳の内側の軟骨)は、もともとリングに向いている部位で、体の構造的にも安定して治りやすい特徴があります。一部のジェニタルピアスも、最初からリングで問題なく経過するケースがあります。
こうした部位では、体のつくりやピアスを開ける角度が、リングの丸い形とうまく合うためです。プロのピアッサーはこの違いをよく理解していて、部位が明らかにリングに適している場合だけ選びます。
治癒後のリング
ピアスホールが完全に治れば、リングは良い選択肢です。治った組織はリングの動きに耐えられますし、リングの見た目が好きという方も多いです。治癒中は問題だった「常に回転する動き」が、治癒後には圧力を分散させたり、お手入れをしやすくしたりするメリットになります。
多くのプロは、ピアスが完全に治るまで(目安は数カ月)待ってからリングに変えることをすすめています。ホールがしっかり安定して、リングの動きにも対応できるようになるためです。
キャプティブビーズリング(CBR)

ボディピアスで最も一般的なリングがキャプティブビーズリングです。取り外し可能なビーズをリングの張力で保持する構造で、着脱が比較的容易でありつつ、しっかり閉じます。ビーズを外して隅々まで洗いやすく、滑らかな円形は治癒後のホール内を快適に通過します。
フィッティングでは、直径(内径)、ゲージ(線径の太さ)、ビーズサイズといった要素を総合的に見ます。治癒後のピアスにおいて、CBRは汎用性が高く、メンテナンスもしやすい選択です。
選ぶときのポイント
- リングへの切り替えは完全に治ってから
- セプタムやダイスなど、初回からリングで問題ない部位もある
- 治癒中は不利だった動きが、治癒後には利点になる
プロの現場では、最初にバーベル(ストレートやカーブ)またはスタッドで治癒を安定させ、治癒後にリングへ移行するほうが、治癒成績が良好です。直線(または緩やかな曲線)のバーは不要な動きと摩擦を抑え、体が治癒に専念しやすくなります。



MAYのこだわり
MAYは、リングが適切な場面とそうでない場面の見極めを重視しています。適切な張力機構と滑らかな表面仕上げを備えた高品質なリングを扱う一方、多くのケースでは「リングは治癒後に最適」というプロの判断も尊重します。
私たちはリングとバーベルの両方を用意しています。状況に応じて最適な選択は変わるからです。リングは治癒後や特定の部位に適し、初期治癒にはバーベルがより安定的です。時期と部位に合ったジュエリーを選ぶことが、良好なピアス体験につながると考えています。
次回はバーベルの種類を取り上げます。ストレート、カーブ、サーキュラーの違いと、それぞれが活きる場面を紹介します。