MAY厳選ジュエリーブランド その3:ゴリラグラス

ガラス製ボディジュエリーの職人品質
2002年の創業以来、ゴリラグラスはガラス製ボディジュエリーを、機能用途にとどまらずアート表現へと高めてきました。拠点はメキシコ・オアハカ。ピアッシングのプロたちからは、他社には真似しにくいデザインと確かな製造技術で高く評価されています。手仕事へのこだわり、地域への投資、環境配慮を一体で進める姿勢が、世界的トップブランドとしての信頼を支えています。

女性が牽引する職人の現場
ゴリラグラスは卸売専業として、プロのピアッシングスタジオとジュエリー専門店に製品と知見を提供しています。だからこそ、ボディジュエリーに必要な配慮が行き届き、選定や装着をよく知るプロのコミュニティもしっかり支えられます。
製造はすべてオアハカの自社工房。熟練の職人が少量ずつ丁寧に作ります。同社の核にあるのは、地域への継続的な投資です。職人の約85%が女性で、監督や管理も女性が担います。メキシコ南部の工房近くの小さな町で働く母親たちに長期的な仕事を提供し、質の高いものづくりが地域を支えることを証明しています。
福利厚生も手厚く、有給の技能トレーニング、家族を含む医療保険、有給の産休、工房そばの無料託児所、そして年間売上の10%に基づく利益分配まで整えています。これらの取り組みは、職人技の向上と、地域への良い循環の両方につながっています。
ガラス素材の厳選仕入れ
ソーダライムガラス(鉛不使用)
シンプルプラグには、イタリアから輸入した高品質の鉛不使用ソーダライムガラスを使用。ソリッドプラグやデラックス・ダイクロイックには、アメリカから輸入したブロックガラスを採用しています。作業性と安全性の両面で、ボディジュエリーに適した素材選びを徹底しています。
ホウケイ酸ガラス(ボロシリケート)
より高い耐久性が求められるジュエリーには、チェコ製Simaxブランドのホウケイ酸ガラスを主に使います。熱衝撃や擦り傷に強く、日常的に着け外しするジュエリーにも向いています。
グローバル調達ネットワーク
原料ガラスはアメリカ・イタリア・チェコの専門メーカーから仕入れています。用途や製法に合う素材を選べる体制を整え、各技法やデザイン要件に最適な素材を柔軟に選び分けています。
匠な製造技術
フレームワーク(バーナー加工)
炎でガラス棒を熱し、重力とシンプルな手道具で最終形へ。細かな手仕事とていねいな目配りが欠かせません。仕上がった作品は、コンピューター制御の窯で時間をかけて冷まし、熱による歪みやひび割れを防ぎます。
ラピダリー(精密研磨)
ダイヤモンド粒子でコーティングしたホイールや工具を使い、切断・研削(削り)・研磨(磨き)を段階的に行います。作業中は水冷で熱の負荷を抑えます。サンドブラスト(砂吹き)でマット(つや消し)に、ファセッティング(多面カット)でマルテレ(槌目)風の質感も作れます。
フュージングと吹きガラス
フュージング(溶かし合わせ)は、色付きの板ガラスをパターン状に配置し、専用の窯で溶ける温度まで加熱して固形のガラスブロックにします。その後はラピダリー(研磨)で形を整えます。吹きガラスではガラスを管状に成形し、ゆっくり冷ましてから、ジュエリーづくりに合わせて切り分けます。
色と表現の工夫
自然な色差

ガラスの色は、溶融時に加える金属酸化物が生みます(通常は重量の1%未満)。そのため、バッチごとにわずかな違いが出て、ひとつひとつの個性として表れます。これは不良ではなく、手作りならではの味わいです。
ダイクロガラス

石英や金属酸化物の多層コーティングを真空中で融合させたガラス。見る角度によって透過色と反射色が切り替わります。もともとは航空宇宙分野の技術に由来し、ガラスならではのきらめきと色の移ろいが楽しめます。
プロとのパートナーシップの考え方
いい製品だけでは、ベストな体験は完成しません。仕上げを左右するのは、人に合わせて寄り添うプロのピアッサーです。耳や軟骨の形・厚みに合わせたサイズ選び、きちんと整えた環境での滅菌と衛生管理、無理のない拡張(ストレッチ)の進め方、装着後のアフターケアまで。メーカーでは対応しきれないところを、プロがしっかり支えます。製品の品質とプロの知見が合わさることで、選定から装着、ケアまでが一本の流れになり、仕上がりも安心感もぐっと高まります。
品質保証とカスタム対応
製造不良に対する保証
すべてのジュエリーは、製造不良と配送時の破損を保証の対象としています。品質管理チームが内容を確認し、返金・交換・クレジットメモなど、状況に応じて適切に対応します。
カスタム設計
「Design Your Own Plug」では、フレア径、装着長、表面仕上げ、カラーを指定できます。解剖学に合うよう配慮しながら、プロ品質のままカスタムできます。
環境への取り組みと教育
アップサイクル・プロジェクト

環境への配慮は、会社の大切な考え方です。使われずに残った素材や廃材を組み合わせ直して、世界に一つの作品に作り変えます。思い通りにならないこともありますが、そのぶん同じものは一つもなく、個性を楽しめます。手作業へのこだわりと、環境負荷を減らす工夫を、どちらも大事にしています。
プロフェッショナル教育への貢献
安全と健康のための学びは、ものづくりと切り離せません。ゴリラグラスは2006年からAPP(プロフェッショナル・ピアッサーズ協会)の法人会員として活動を応援し、毎年ラスベガスの年次カンファレンスにも参加しています。ラテンアメリカ・ボディピアッシング(LBP)向けの奨学金も提供。創業者のジェイソン・フォールは、この20年、世界各地で「ボディピアッシングとガラス」について講義を続けています。
グローバルな流通体制
プロフェッショナル・ネットワークの支援
各地域の専売パートナーと協力し、適正な価格と専門的なサポートを届けています。日本ではMAYが担当し、国内のプロの現場をしっかり支えています。
MAYのこだわり
MAYは、ゴリラグラスの職人仕事と、地域に寄りそう姿勢を高く評価しています。日本の専売パートナーとして、有給トレーニングや医療保険、利益分配、アップサイクルなどの取り組みを間近で見て、品質と社会的責任は両立できると実感しています。一つひとつの作品には、受け継がれてきたガラスの技と、雇用や学びを広げる確かな思いが込められています。

次回からは、ジュエリーデザインの要素をさらに掘り下げ、スレッド(ネジ)システムやアタッチメント方法を取り上げます。