ボディピアスの品質認証プログラム−フェーズ2:ゴールドとプラチナの新基準
APP認証 フェーズ2:貴金属ジュエリーの新しいゴールドスタンダード

プロフェッショナルピアッサーズ協会のボディジュエリー認証プログラムのフェーズ2では、ゴールドやプラチナのジュエリーを対象に、より詳しい試験と品質チェックを行います。貴金属は素材の組成を確かめるのが難しいため、フェーズ2ではメーカーが自社で検査できる体制を整えることを求めています。こうした基準を知っておくと、認証を受けたメーカーがどれだけ高い品質を保っているかが分かります。
なぜゴールドとプラチナには特別な基準が必要なの?
ゴールドやプラチナのジュエリーは、チタンやステンレスとは違って、素材の組成を確かめるのが難しいという課題があります。ゴールド合金は種類や配合の幅が大きく、従来の刻印だけではボディジュエリーに必要な情報を十分に伝えきれないこともあります。そこでフェーズ2では、年に一度の適合確認と、メーカーが自社で検査できる体制を義務づけて、この課題に対応します。
フェーズ2では、メーカーが社内で蛍光X線分析(HD‑XRF)を実施し、さらに第三者機関での検証も受ける二重チェックを導入します。これにより、出荷前のすべてのバッチが安全基準に合っているかを確認できます。ピアススタジオで滅菌のたびに工程を確認するのと同じように、ジュエリー製造でもバッチごとの基準適合チェックが欠かせません。
高度な検査体制
年次ASTM適合確認
フェーズ2では、メーカーに対して ASTM F2999 および F2923 に基づいた適合確認を毎年実施することを義務付けています。これは一度きりの認証ではなく、材料の供給元や製造プロセスが時間とともに変化しても、継続的に基準を満たしているかを確認するための取り組みです。この継続的な適合確認により、常に一定の品質が保たれます。
社内HD‑XRF検査体制
認証を受けたメーカーは、社内に蛍光X線分析(HD‑XRF)装置を保有することが求められています。この装置により、製造工程中に組成をリアルタイムで確認できるため、規格外の材料が製造プロセスに混入することを未然に防ぐことができます。即座にフィードバックが得られるこの技術は、品質管理において重要な役割を果たしています。
第三者機関による検証
社内検査に加えて、フェーズ2では第三者機関による検証も義務付けられています。この二重検査体制により、検査の正確性が高まるだけでなく、独立した立場からの客観的な確認が得られます。これにより、素材が基準に適合していることを、第三者にもわかる形で説明できます。
ラベル表示のアップデート
私たちがペットボトル飲料などの一般消費財を購入するとき、ラベルには全成分、有効期限、製造者情報まできちんと載っています。この透明性により、消費者は何を摂取するかについて、十分な情報に基づいた判断ができます。
一方で、汗や体液に長期間触れるボディジュエリーは、こうした重要な情報が欠けていることが多いのが現状です。多くの場合、シンプルな密封袋に入って届き、曖昧な説明しかなく、素材の適合基準や製造過程に関する透明性が大きく不足しています。
フェーズ2は、この問題に対処するため、ラベル表示の要件を設けています。これにより、プロと消費者の双方が確かな情報にもとづいて安全性を判断できるようになります。透明性が高まることで、業界全体でより安全で責任ある運用が進みます。
フェーズ2認証を取得しているメーカー
現在、フェーズ2認証を取得しているのは、アナトメタルやネオメタルといった、フェーズ1と2の両方の厳しい基準をクリアした実績あるメーカーです。
これらのメーカーは、貴金属の加工技術に優れているだけでなく、継続的な品質維持のために必要な検査設備と管理システムを社内に備えています。これは設備、トレーニング、品質システムに大きな投資を行っている証です。


実際の現場ではどうなる?
フェーズ2の最も重要な点は、製造バッチごとに検査を実施することです。これにより、規格外の材料や製造上の問題が消費者に届く前に発見され、排除されます。こうした継続的な検査体制によって、業界全体で販売されるゴールドおよびプラチナジュエリーの品質が安定し、信頼性が大幅に向上しています。
このプログラムは、各メーカーが個別に行う品質管理を上回る高い基準を実現しています。検査手順や記録方法が標準化されているため、どのメーカーや製造拠点で生産されても、一貫した品質が保たれます。
プロと消費者にとってのメリット
消費者も専門のピアッサーも、体内に装着するジュエリーの素材や製造基準について、詳しい情報を知る権利があります。フェーズ2は、「メーカーの評判を信じる」という曖昧さではなく、「検証された事実に基づく確実性」を提供します。
消費者は、体内に装着する素材について、アレルギー反応のリスク、体質との適合性、長期使用の安全性を考慮して、十分な情報に基づいた選択ができます。プロのピアッサーは、文書化された検証データに基づいて自信を持って推奨できるため、クライアントの安全を確実に守ることができます。
正しい選択のために

ゴールドやプラチナのジュエリーを選ぶときは、公式のフェーズ2認証バッジを目印にしてください。これは、メーカーが自社検査体制を持ち、年次の適合確認を受け、従来の業界慣行を上回る透明性の高い品質管理への取り組みを満たしている証です。
フェーズ2認証メーカーは、品質保証システム、検査装置、継続的なモニタリングに大きく投資しています。この認証は、単なる売り文句ではなく、文書化され検証可能な基準に基づいた、実証された品質への取り組みを表しています。
MAYのこだわり
MAYでは、貴金属ジュエリーでも検証済みの品質を重視し、フェーズ2認証メーカーとパートナー関係を結んでいます。フェーズ1・2の両方を取得している企業に限定して取引することで、チタンやステンレスから貴金属まで、素材が変わっても一貫した品質基準を保てます。
また、こうしたメーカーは検査装置や品質管理の仕組みに継続して投資し、出荷前の確認も徹底しています。ボディジュエリーにも医療機器と同等の透明性と説明責任が必要だという、私たちの考えとも合致しています。
APP ボディジュエリー検証プログラムの解説は、今回でひと区切りです。
次回はジュエリーデザインの基本に進み、ネジ式の仕組みが着け心地や安定性にどう影響するのかを分かりやすくご紹介します。お楽しみに。