ボディジュエリーの素材:天然素材編

天然素材:特有の美しさと上手な付き合い方
天然素材のボディジュエリーには、自然がつくる唯一無二の美しさと質感があります。木・骨・角・石・琥珀。それぞれ“その素材らしさ”が表れ、見た目も手ざわりも個性的です。この記事では、天然素材の特徴や気をつけたいポイント、サイズ選びとケアのコツ、安心して楽しむための考え方まで、やさしく紐解いていきます。
天然素材が「少し違う」理由
天然素材は、金属やガラスのように均一ではありません。木目や色味、内部構造に固有のばらつきがあり、同じものを完全に再現することはできません。この個性が“一点もの”の魅力を生みますが、見た目や着け心地、耐久性のばらつきも前提として受け止める必要があります。
また、多くの天然素材は合成素材よりも多孔質で、皮脂や湿気、洗浄剤の影響を受けやすく、ケア次第で状態が変わります。衛生管理のハードルや経年での変化を踏まえ、プロのピアッサーは日常使いより「短時間の使用」や「特別な日のアクセント」として楽しむ方法を勧めることがよくあります。素材の個性を活かしながら、適した場面とお手入れで心地よく付き合いましょう。
主な天然素材カテゴリー

- 木材:エボニー、ローズウッド、竹などは軽く、木目の表情が豊かです。木の種類によって重さや丈夫さ、時間がたった後の安定性、肌への反応の出やすさが大きく異なります。扱いやすいものもあれば、体質によっては合わない場合もあります。

- 骨・角:丁寧に磨くと滑らかな質感になります。角は少ししなるため曲線的な形と相性がよく、骨はしっかりしているので直線的なデザインで形を保ちやすい素材です。細かな彫りも表現できます。

- 石:翡翠、黒曜石、さまざまな半貴石など。石の種類によって密度や硬さは幅があり、丈夫で使いやすいものもあれば、欠けやすく取り扱いに配慮が必要なものもあります。

- 琥珀:化石化した樹脂で、とても軽いのが特長です。温かい色味や内包物(インクルージョン)の個性が魅力ですが、脆く、熱や薬品に敏感です。高温や強い力を避け、取り扱いと保管には注意が必要です。
サイズと耐久性の制約
天然素材は、作れるサイズや形に限りがあります。脆い素材は小さすぎると割れやすく、極端に大きいと時間の経過とともに亀裂や反りが出ることがあります。
- 最小サイズの目安
琥珀・石は破損リスクから8G未満は避けるのが無難です。角は小さく作れる場合もありますが、薄くて大きい形だと反りやすくなります。木製プラグは、製造時の破損や使用時のストレスを避けるため、概ね6G程度からがおすすめです。
- 最大サイズの考え方
素材の入手性や内部の健全性に左右されます。大きな琥珀は内部に割れが入りやすく、価格も上がりがちです。木材は大径になるほど“チェック”(微細な割れ)が出やすくなります。
ケアとメンテナンス
天然素材は、合成素材より手入れに注意が必要です。多くの天然素材のジュエリーは、乾燥やひび割れを防ぐために、適切なオイルで時々コンディショニングすると良い場合があります。ただし、素材ごとに方法は異なり、木に有効なやり方が骨や石にそのまま適するとは限りません。
ひび・欠けなどのダメージがないか、定期的に確認してください。湿度や温度の変化で膨張・収縮が起き、構造に影響が出ることがあります。
短時間の着用をより安全にするために
プロのピアッサーは、天然素材のジュエリーをつけっぱなし用ではなく、短時間や特別な日の着用としてすすめることが多いです。天然素材の多くは多孔質なので、手入れが不十分だと汚れや菌を抱え込みやすくなります。また、同じ素材でも人によっては時間の経過とともに過敏になったり、反応が出ることがあります。

天然素材のジュエリーを着用する際は、生活スタイルや装着部位も考慮してください。天然素材と相性の良い部位とそうでない部位があり、個人個人の皮膚の性質(皮脂や汗の出方、反応の出やすさ)によっても相性は変わります。
良質な天然素材ジュエリーの選び方
天然素材は割れやすいものが多いため、中が空洞になっている形状のものは十分な厚みが必要です。ジュエリーを選ぶ際は、サイズと用途に適した厚さであるかを確認してください。
加えて、素材そのものと入手元の情報を十分に調べましょう。素材によってはよりサステイナブルな方法で採取されているものがあり、製造の品質もメーカーによって大きく左右します。素材の特性を理解すると、実際の性能や耐久性への期待値も把握することができます。
賢い選択のために
天然素材は、日常使いの主役というよりも、特定の装いや場面で活きる特別なジュエリーとして向いています。唯一無二の美しさは大きな魅力ですが、メンテナンスの手間や耐久性の限界を考えると、継続的な装用にはあまり適していません。
判断に迷うときは、天然素材の特性を理解している経験豊富なピアッサーに相談してください。体質や装着部位、使うシーンに照らして適否を見きわめ、適切な使い方や選び方を提案してもらえます。
MAYのこだわり
MAYは、長期の装用において高い安全性と耐久性を満たす素材を中心に取り扱っています。天然素材には、短時間や特別な日のアクセントとしての価値がある一方で、日常使いには金属・ガラス・医療グレードシリコンといった実績のある素材を推奨します。天然素材にご関心のある方には、メーカーの選定を慎重に行い、素材固有の限界を理解したうえで、経験豊富なピアッサーに相談することを強くおすすめします。
素材編はここまで。次回からはデザイン編へ進みます。最初のテーマはねじ規格。着け心地や外れにくさにどう関わるのか、実例を交えて紹介します。